<Victor FXC51> |
>>独特のフォルムと、異色の音 FXCシリーズ特有の外観です。この価格帯では珍しいアルミハウジング採用。 まず気を引くのは、その独特な外観ですよね。筐体が長く、ハウジング部が異様に小さい上に、変な突起物まで。 そう、これがFXCシリーズの特徴である「トップマウント構造」のトレンドマークのようなものなのです。「トップマウント構造」とは、通常は外耳道(耳の穴ですね)の外に配置されている振動板ユニットを、超小型化して筐体の先端部に持ってきたものです。こうすることで、鼓膜と振動板の距離が近くなり、音質の劣化が最小限に留まると共に、ユニットが耳の中でしっかり密閉されて豊かな低音再生も狙えるという奇抜な発想のものです。 なぜこの発想が奇抜かと言うと、通常低音再生を重視するには振動板を大型化するのが一般的で、最近は「13mm振動板搭載」などと、振動板の大きさをうたい文句にしていることが多いのです。ところが、このような大型の振動板ユニットは外耳道へ入れることは不可能なので、外耳道の外へ配置されます。ですが、このトップマウント構造では、振動板を5.8mmまで小型化してユニット化し、先端に配置しています。Victorはこれを「マイクロHDユニット」としてウリの1つにしています。 振動板はただ小型化されているだけではありません。その材質にも一工夫あり、カーボン繊維を用いて構成されています。カーボン繊維は比重が軽く強度が高い材質です。また、振動減衰特性にすぐれ、解像度が高く抜けの良い音を実現しているそうです。 実際に聞いてみると、価格帯比較以前の問題で、独特の音が聞こえてきます。それが、良い音か悪い音かと聴かれると、私は「良い音」だと思います。 バランスとしては、80Hzと10kHz付近にピークがあるドンシャリなのですが、高域が、なんと言いますか、スカーっ!!とした感じで、とてもヌケがいいです。別段高域に伸びがあるわけでもないのですが、気持ちよくフェードアウトしていく高域の特性は面白いものがあります。 低域は、いわゆる重低音を再生できるように調整されているらしく、この価格帯の中でも低域は優秀なほうだと思います。量より質と言った感じで、締りのある低音です。 しかし、ここはやはり小型振動板ユニットの宿命なのでしょうが、超低域、そうですね〜50Hz以下くらいでしょうか、の領域に入ると一気に音圧が低下してしまいます。なので、空気の振動を感じるような低域のある曲だと、その部分でかなり不満が出てきます。 ですが、素性がいいために、イコライザやブースターで増強しても音が割れたりしないので、そこはプレーヤー側の設定である程度カバーできます。 音声ファイルに記録された音を忠実に再現できるほどの再生能力は無いのですが、それが返って音源が粗悪なときに、その粗悪さをカバーしてくれます。RH-iE3と聞き比べると、下手をすればこちらの方がいい音に聞こえたりします。サ行も全く刺さらないので、聴き疲れしない音でもあります。 ですから、主にMP3で圧縮された比較的クオリティーの低い音源を聴くときに使っています。あと、値段的にROLAND RH-iE3を持ち出したくないときも使っています(笑) イヤホンとしての再生能力は高いほうではないのでしょうけど、音割れなどは皆無で、非常に安定した音です。 装着感ですが、耳の奥まで突っ込む為に、最初は少し手間取るかもしれません。ですが、しっかりと奥まで差し込まないと、このイヤホンの1%の魅力も発揮しませんので、しっかり入れてください。あと、イヤピース小さめがいいです。 しっかりと装着できると、周りの音が殆ど聞こえなくなるので、外音遮断性はかなり高いと思います。高速を走行中の車の後部座席で装着していましたが、快適に眠ることができました(笑)。 ですが、それゆえに運転中は言うまでも無く、歩行時に装着するのも危険かと思われます、くれぐれも注意してください。 耳の奥まで突っ込む、と言っても、分かりにくいですよね。感覚的には、鼓膜まで入れる勢いでしょうか。無理はしないでください。 FXC51の上にFXC71という機種があるのですが、こちらはステンレスハウジングを採用し更に振動抑制の細工を施されているために、高域の特性に優れるという話ですが、私はこちら(FXC51)の音のほうが好みです。値段も安いですしね。 実はこのFXC51、友人に「おすすめのイヤホン無い?」って聞かれてFXC71を勧めたのですが、その後友人が購入したFXC71の音を聴いて、思わず購入してしまったものです(笑)。ちょうどその時、ノートPCを購入した経緯もあって「ビックカメラ.com」のポイントがかなり貯まっていたので、それで購入しました。 値段的にもRH-iE3より安くて音もそこそこ良く、気軽に扱えるイヤホンとして重宝しております。 因みにFXC51は、エージングをしないと何の意味もない機種です。エージングにはしっかりと時間を掛けましょう。だいたい60時間程度から音が落ち着いてくるようですが、ファーストインプレッションは酷いもんなので、最初に気に入らないからってあきらめないでください。エージングが済めば、絶対的に考えても「いい音」で鳴らしてくれます。 価格は3500円ほどで購入できます。 >>スペック 周波数特性:10Hz - 22kHz (50Hz以下と16kHz以上は再生していないと思います。ですが、気になりません。) インピーダンス:16Ω (ポータブルでも余裕で駆動可能) ドライバ:ダイナミック (力強い音を奏でます) ハウジング:準開放型? (トップマウントなので、よくわかりません) |