<nVIDIA GeForce GTX550 Ti>
最安値では性能と価格のバランスは良い



今回購入したのは、玄人志向が販売している「nVIDIA GTX550 Ti」チップを積んだGPUです。
主にAVCHDデコード/エンコード、ある程度の3Dゲーム、GPGPU(汎用演算)の用途で用いる予定です。

あっちこっちに書いてあるけど、とりあえずスペック。

チップ

nVIDIA GTX550 Ti

アーキテクチャ

Fermi

DirectX

11.0

CUDA コア

192基

テクスチャユニット

32基

ROP

24基

コアクロック

900MHz

シェーダークロック

1800MHz

メモリ容量

1GB

メモリインターフェース

192bit(GDDR5/4100MHz)

プロセスルール

40nm

定格消費電力

116W

最低所要電力

450W


まあ、特に変わったとこはないですね。リファレンスクロック、メモリです。
ただ、恐らくリファレンスと違うのが「電圧」です。計測してみると1.13Vで動作しており、そのせいか発熱がかなり多いです。


<スペック的観点から - 傍目からは安心できそうなスペック>
このGTX550は、Fermi世代のGPUで、DirectXは11.0対応です。シェーダユニット数は192基、テクスチャユニット32基、ROP数が24と、GTS450で削られていた部分がキッチリと搭載されています。

どーでもいいですけど、同クラスのRadeonはシェーダユニットが800基積んでたりするのですが、nVIDIAは大分少なめですよね。(※新しいKeplerアーキテクチャでは同じくらいに増えています)

メモリインターフェースが192bitなので、メモリ周りはそれなりに強いことが予想されます。ただ、昔は256bitや512bitまで帯域が広くなったのに、なぜ最近の製品はここまで落とすのでしょうか?
まあ、メモリがGDDR5になった事で転送率が大幅に向上したことが原因なのでしょうが。。。そこにコスト的理由が重なったのでしょうね。

まあ、とにかく。これくらいのグレードだと128bitだったりするけど、これは192bitまで確保されているので、スペック的にはいいですね。

某サイトにも書いてありましたが、192bitインターフェースで1GBを実現するのは、実は結構面倒。GTX460がその例で、192bitの帯域で1Gbitのメモリチップを使い、結局768MBというメモリ容量になっています。64bitのメモリコントローラが3基(192bit)あるので、「256MB+256MB+256MB」で768MBということです。
2Gbitを使えば1536MBにできますが、そのサイトでは「コスト面で不利になる」という予想をしていますが、私も同感です。

で、このGTX550なのですが、これは1Gbitと2Gbitを混在させて、丁度1GBを実現しているようです。「512MB+256MB+256MB」で1GBということですね。

ただ、メモリが768MBから1GBになったところで、どこまで影響ががあるのか解りませんがね・・・今までグラフィックメモリを使い切ったところを見たことがありません。。。

まあでも、その辺は余裕を持っていたほうが安心できます。
CUDAコア数、メモリ、インターフェース、クロック、比較的余裕があって安心できそうです。どこかのスペックが極端に低ければ、そこがボトムネックともなりえますからね。

ところで、「ボトムネック」と「ボトルネック」と言う人が居ますけど、どっちが正しいんでしょうねぇ?「ボトム(最低の)ネック(弊害)」と「ボトル(最小の)ネック(弊害)」と考えれば、どっちも正しいんですかね・・・


<実際に使用してみて - PSO2はこれで十分か>
さてまあ、とりあえず構造的な部分はこれくらいでいいですか。
実際に使った感じなのですが、ちょいとファンがうるさいです。最高回転数が4000rpmなのですが、普段は990rpmでおとなしくしています。
しかし、軽くロードが掛かってアイドリングのクロックである51MHzから900MHzに上がり始めると、2000rpm越え、フルロードでは3900rpmにまで上がります・・・

扇風機かっ!

しかも、温度が95度近くまで上がってくるので、ちょっと異常な気もします。
これに関しては、おそらく電圧が高いせいだと思うので、後述しますが、電圧を下げることで温度の問題は解決できます。

さて、折角なのでベンチマークも少し載せておきましょう。
まずはPCの基本環境を。

CPU:Intel Core2Duo E8400@3.00GHz
MEM:4.00GB(DDR2)
OS:Windows Vista Business Edition 32bit

すでに旧世代品ですが、いまだ十分な働きをしています。もちろん力不足を感じる部分もありますけどね。
さて、ゲームを殆んどしない私が唯一やっていた「Phantasy Star」の最新作、「Phantasy Star Online 2」のベンチマークをメインとします。それしかやらないし。

まずは何も弄らないでベンチマークを実行。画面解像度は1280×720、簡易設定3、そのほか全て標準の設定で、スコアは7238。FPSは目視で90〜120、最高で230でした。

標準設定と言ってはいますが、画質面ではドライバから全てのフィルタリングなどを最高品質に設定しているので、実際はこれより高い値だと思います。

ずいぶんとスコア伸びますね。
ネット上では「地雷」などとかなりの酷評を下されているようですが(もちろん、一部でですが)、彼らは何を求めているのでしょうね。彼ら曰く、すべて地雷らしいし。(ただし、発熱などに関しては同意できます。)

このスコアだと、「快適動作、お好きな設定でどうぞ」ってことらしい。(5000以上で快適)
次は、調子に乗って全てを最高設定に。画面解像度1920×1080(フルスクリーン)、簡易設定5、テクスチャ解像度は高解像度(設定5の標準)で実行。
スコアは2150。FPSは40~75、最高で130でした。エフェクトが多い部分でもFPSは結構粘っていて、瞬間的に低くなっても35は下回りませんでした。
また、そこからの回復も早く、結構あっという間に50~60まで復帰します。

このスコアでは、「標準的な動作、余裕があれば画質向上可」ってことらしい。
最高設定でこれなら十分では? ちょっとスコア的には不安な部分もありますが、実際、今はこの設定で滑らかにプレイできています。
十分プレイアブルといえるスペックだと思います。

面白そうなので、全て最低設定も試してみることに。画面解像度だけは1920×1080ね。
スコアは23730(笑)。FPSも150~220で最高は320くらい。
たぶん、1280×720だと30000超えそう。

さて、これだけではちょっとつまらないので、FF14とぐるみんも試してみることに(笑)。チョイスがおかしいのはご愛嬌ね。

さて。
FF14はLOWとHIGHの2つのモードしかないので、とりあえず両方試してみることに。(キャラクターはヒューラン(男)を選択)
結果、LOWで3350、HIGHで2265でした。
LOWではやや快適レベルで、HIGHでは標準らしい。でも、ちょっとHIGHではキツイかな。FPSがたまにガタ落ちすることがあって、時々カクつきます。LOWでは特にそういったことはなく、FPSも安定していました。

「Harry, Back to the cavin. Let us Become she's next.」
どーでもいいけど、何か強い男が言ってる事がぜんぜん聞き取れない。「My care, safe.」?俺がいれば安全だ、みたいな?


お次は「ぐるみん」。かなり古いゲームで、知らないヒトも多いかも。DirectX8世代のゲームで、オプションからDirectX9を使用する設定が出来ます。
今回はDirectX9を選択、そのほかは画質面で最高設定を行い、実行。
結果、スコアは122422でした。以前使用していた「nVIDIA GeForce 9500GS」では大体90000~100000くらいだったことを考えると、DirectX9が苦手なFermi世代の弱点は、上手く隠蔽されている感じがしますね。(それでもFLOPSは5倍以上高いはずなんですけどね。。。)
因みに、これも以前使っていた「nVIDIA GeForce GT430」という、Fermi世代のローエンドGPUがあるのですが、これは「ぐるみん」のスコアで60000~70000くらいだったので、モロにFermi世代の弱点を露呈していました。(FLOPSは9500GSより高いのにスコアが低い)

まあ、本来であればGT430のが9500GSよりも全体的なスコアが高いはずなのですが、それが極端にスコアで差をつけられ、GTX550Tiでさえ2000程度しか差をつけられないことを考えれると、やっぱり旧世代には弱いんですかね。。。

あ、因みにですが、「ぐるみん」はスコア10000以上で「非常に快適」というレベルで、120000とか70000とか言った所で、ゲームには関係ないんですよね(笑)。飽くまでも「ベンチマーク」ということで。

あ、あとGPU使用率が全く上がりませんでした。普通はベンチマーク中は99%に張り付いているのですが、これは高くて70%程度といったところ。
そのせいで、GPU温度も66度止まり。

DirectX9のためにGPUをフルに使いきれていないのでしょうか? まあ、スコアを考えると100%使う必要がないと言った方がいいかな(笑)


さて、この感じだとPSO2のプレイは高画質でも全く問題なく、マシン(CPUやメモリなど)によっては最高画質設定も可。そのほか、FF14など、最高画質に拘らなければ十分プレイ可能といった感じでしょうか。
結構オールラウンダーとして使えると思います。

TERAやSKYRIMなどもやると面白いんでしょうが、今回は時間が無かったので、そのうちやってみますと言う事で。


<問題点もある - 性能は十分、問題は発熱と電圧。>
性能に関しては、よっぽどな画質オタク、スペックオタクでもない限り問題ないことがわかりました。
ただ、この製品での話ですが、発熱とファンノイズがちょっと大きいように思います。これは先述したように、電圧の問題ではないかと思います。
他のGTX550搭載機を見ていると、フル動作時の電圧が1V弱から強程度で抑えられているのに対して、この製品は1.13Vとかなり高めに設定されています。(アイドリング時は0.95Vでした)

理由はわかりませんが、フルロード時の温度が95度を超えるなど、温度に関しては高すぎます。また、温度の上昇に伴ってファンの回転数も上がるので、ファンノイズが結構大きくなります。

ちょっと異常なので、MSIのオーバークロックツールである「After Burner」を利用することにしました。

このソフトウェアーは、クロックやファンスピード、コア電圧などをグラフィカル(視覚的)に調整でき、それらをプロファイルとして保存することもできます。
これなら、nVIDIA標準のツールでもいいのでは? と思うかもしれませんが、あれはコア電圧を調整できないのです。ただ項目自体はあるので、たぶんマザーボードがnVIDIAだと使えるのかもしれません。

因みにこのアフターバーナー、操作することが危険なコア電圧の調整が標準ではロックされています。ですので、オプションからそのロックを外して使用します。

まずはいきなり-0.1Vから、コア電圧を1.025Vに設定。すると、標準で95度を超えた状況で、80度を下回るようになりました。はは〜ん、やはり電圧でしたか。
しかも、安定性は全く損なわれないどころか、むしろ安定したように思います。恐らく、元々要求電力の高いGTX550に加えての高電圧設定であった為、補助電源が6pin×1では足りなくなっていたのでしょう。

因みに、クロックは据え置きでやっています。

まだ耐えられそうなので、さらに-0.025Vで、丁度1.000Vに設定。これでも安定しており、発熱もさらに-2~4度ほどになりました。
まだ行けるかな? と思い、さらに-0.025Vで0.975Vに設定したところ、PSO2ベンチの最後付近で落ちてしまいました。途中で画像が破綻してきたので「これはダメか・・・」と思った矢先、ブラックアウト。
次に、少し上げて0.987Vに設定。本当は0.990Vにしようと思ったのですが、ここにプロットされてしまいました。結果、この電圧なら問題なく動作します。
まあ、定格クロックでは1.000Vが下限と思ったほうがよさそうですね。

見方を変えれば、例えば700MHz付近までアンダークロックして、電圧を0.90Vまで下げるとかの使い方もあるかもしれませんね。

今のところ1.000Vで安定して使用できていて、PSO2も快適です。発熱も少なく、そのおかげでファンもそれ程うるさくならずに済んでいます。回転数的には2500~3300rpmといったところで、3900rpmに張り付いていた以前よりは静かです。
まあ、それでも静音タイプには遠く及びませんが・・・静かなものでは、フルロードでも1600rpmらしいし・・・
発熱に関しては、実際にPSO2を最高画質でぶん回しても82~84度止まりでかなり良くなりました。動作も極めて安定していて、新しい武器も拾えました!(←関係ない)
以前は97度とか行ってましたからね〜・・・
現状ではFPSを60fpsでロックしているので、実際の温度は73度程度に収まっています。

計測はしていないのですが、恐らく消費電力もかなり下がっていると思います。単純に計算して、消費電力≒TDP(熱電力設計 - Thermal Desghin Power)が116Wで電圧が1.13Vとし、それが1.000Vまで下がるとおよそ12%の電圧下降。電力は[電流×電圧]で、電流は一定だから単純に12%の低下になるけど、とりあえず計算してみる。
電流をI、消費電力をWとすると、1.13I=W=116、1.13I=116、I=102.65。降圧後の消費電力をW'として、W'=VI=1.000×102.65。
つまり、消費電力、TDPは102Wということになります。結果TDPで14W低下したことになり、12%の低下だから計算はあってるね。中学1年生レベルの計算。オームの法則を覚えていますか〜?

ってことは発熱も理論的には12%の低下か・・・
[95*0.88=83.6]。おお〜だいたいあってる(笑)

因みに、これを周波数で割って計算していくと、ちゃんと交流での計算ができます。今回は不要なので簡略化していますが。。。

一応この手段で、発熱の問題を解決することができます。
あと実は、なんですが。上記のベンチマーク結果は1.000Vで実施したものです。まあ、定格のときと比べてスコアは若干上がる程度の傾向なので、気にするほどのことでもないと思います。

※しかし、コア電圧を変更することは、アフターバーナーがロックを掛けていることからも解るように、一歩間違えれば破損へと繋がる危険な行為です。(電圧を変えずにオーバークロックするのとほぼ同義。)
また、メーカーなどのサポートも一切受けられなくなるなど、知識がなかったり、その辺を割り切れないヒトはおやめください。また、この行為は飽くまでも自己責任です。私を含め、誰も責任を取ってくれません。ご注意ください。


<オーバークロック - GTX550Tiはリファレンスでこそなのか?>
さて、GPUのもう一つ性能指標、オーバークロック耐性ですが、結論から先に言うと「[GTX550Ti]はリファレンスでこそ意味がある。」と言えそうです。

※これ以降のオーバークロック設定の結果は、何れも定格電圧(1.13V)で実施したものです。またこれらの行為は自己責任において実施しております。真似をする場合、各自の責任において実施してください。

実際にオーバークロックを行うと、コアクロック1GHz、メモリクロック4200MHz(実クロック2100MHz)という設定でも、PSO2なら20分はプレイできます。

そこから落として、コアクロック975MHz、メモリクロック4200MHz(実クロック2100MHz)だと、45分くらいはプレイできます。
何れもその後はブラックアウト(闇)

しかし、です。
まずは発熱の問題が顕著に現れます。クロックが上がれば、当然発熱量も増加するので、リファレンスクロックでも熱で苦戦しているこの製品では、寿命を縮めてしまう恐れがあると思います。

また計算ですが、例えば900MHzを1GHzにクロックアップすると、実に11%もアップしていると言うことになります。とりあえず、標準での最大温度を実測値の95度と仮定して考えます。この場合、今度は消費電流が11%増加するので、[95*1.11=105.45]と最大動作温度を超えてしまうことがわかります。(最大動作温度は100度です)

次に電源の問題です。温度が上昇するのを抑えようとしてファンを全開(4000rpm)に設定したり、1GHz設定のときのような状況で自動で上がったりすると、電源不足のためかあっという間に落ちてしまいます。

最初はファンが原因とは思いませんでしたが、クロックを模索している段階で、「あるクロックで落ちていたのにファン回転数が上がらないような設定をしたら、ブラックアウトしなくなった」などの結果からファンが原因と考えています。本当にギリギリのようですね。

そこで、ファンの上限回転数を85%止まりにして見ると、1GHzではあっという間にブラックアウト。(温度が原因)
975MHz設定のほうでも、落ちなくなりますがコア温度が98度越えをしていることもあり、かなり危険です。

まあ、この設定はかなり極端なので、普通のオーバークロックでの話をします。
実際に安定して使用できると感じたのは、コアクロック930MHz、メモリクロック4200MHz(実クロック2100MHz)です。メモリクロックは、これ以上上げるとプレイ以前に落ちやすくなるので、ここが上限だと思います。
コアクロックはもう少しいけますが、前述の通り、温度の問題が出てくるので、この辺りが妥協点だと思います。

この設定だと、当然ベンチマークのスコアは上がります。
しかし、実際にプレイしていると、10分くらい経過すると動きがカクカクしてくるのです。恐らくは温度の影響だとは思うのですが、これではオーバークロックの意味がありません。円滑なプレイに支障を来たすほどにFPSが低下します。(壊れる直前じゃないの?って話なんですけどね。。。)

ですので、リファレンスクロックでもPSO2なら最高画質で十分動くことを考えると、オーバークロックするのは無意味であると言えそうです。
他のゲームは試していませんが、同じことが言えるのではないかと思います。


このGPUの性能を引き出すには、まず安定性を追及するのが良さそうですね。


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