<水槽を立ち上げよう> |
・必要なもの まず、最低限必要なものが、 1、水槽(ここでは60cmと仮定します) 2、フィルター 3、底床材 の3つですね。 そこに、普通は使うけど、無くてもとりあえず飼育できるものを加えると、 4、ヒーター+サーモスタット+水温計 5、クーラー 6、照明 7、エアポンプ となります。クーラーは高価なので、無くてもとりあえず問題ありません。しかし、ヒーターは入れるようにしてください。温度を安定させるのに必要です。また、確実に水温を監視するために、方式(デジタル/アナログ)問わずに水温計は必ず設置するようにしてください。 エアポンプは、フィルターの種類によって必要/不必要が変わってきます。大まかに、内部フィルター、外部フィルターはエアポンプ必須で、上部フィルター、外掛けフィルターは任意といった感じです。 照明は、見やすくするのはもちろん、水草の光合成のためにも必要です。 他には、 8、バクテリアの元 9、コンディショナー 10、二酸化炭素の添加 11、コケ抑制剤 など等、挙げ始めたらキリがありません。8、9は、使用者によって大分感想が変わってくるので、まあ、試してみてくださいって程度です。 10は水草水槽では必須項目とも言えるでしょう、光合成を促進します。 11は、水草が枯れないという保障もないので、試してみて成功したらラッキーと言った感じでしょうか。 まず、1〜7で始めてみましょう。 ・水槽を立ち上げる まず、フィルター、水槽、底床材を一通り洗います。水道水で構いません。ただし、底床材がソイルの場合は、洗わずに使用してください。 次に、水槽を設置する場所に持って行き、そこで底床材を入れ、フィルターやヒーター等のアクセサリをセットします。 設置する場所ですが、窓際や日光の多くあたる場所では、コケが大発生して大変なことになります。また、水温も上昇してしまうので、そのような場所は避けてください。 そして、汲み置きした水か、浄水器を通した水を水槽に入れます。チオ硫酸ナトリウム(通称ハイポ)で塩素を抜いてもいいですが、私の環境ではヒドラが大発生してしまいました。どうも、ポリプのような状態で川から水道水に紛れ込み、浄水器という高密度なナノフィルターを介さないと水槽内で再生するようです。・・・飽くまで憶測の領域ですが・・・ じゃあ、汲み置きでもまずいんじゃないか、とも思いましたが、汲み置けるほどの容量のものも場所も無く、試していないので何ともいえません(^_^;)。 私は浄水器を通した水がおすすめですね。 60cm水槽は60ℓ程度と結構容量が大きいです。10ℓほど入るバケツでも用意しておきましょう。 水草を植える場合は、この時点で植えてしまいます。植えにくい場合は、少し水を入れてから植えましょう。 一通り植えたら、底床材が巻き上がらないようにしながら、水を上5cmほどまで入れてしまいます。水が白濁していますが、フィルターを回していればそのうち取れます。 ここで注意点が1つ。間違ってもこの時点で生き物を入れてはいけません。なぜなら、まだ生き物が排出するアンモニアを分解できるバクテリアが定着しておらず、ここで入れるとアンモニアで生き物が死んでしまいます。 ところがところが、バクテリアを定着させるには、それのエサとなるアンモニアが必要ですね。しかし、生き物が居なければアンモニアはあまり現れません。すると、バクテリアが繁殖できないわけです。 (ろ過については、こちら に詳しく記載しました。) そう、水槽の立ち上げで、ここが第一関門となるわけです。 ここでは、バクテリア定着の為の方法を3つご紹介します。 まず1つ目は、必要なもの8で登場した「バクテリアの元」を使う方法です。市販されており、アンモニア分解に必要な一通りのバクテリアが含まれているようです。しかし、バクテリアというのは、その水槽に一番適した比率で繁殖しますし、元々全く現れないバクテリアもいます。なので、繁殖しないバクテリアにまでもアンモニアを奪われ、結局一番繁殖して欲しいバクテリアの定着に時間がかかってしまうかもしれません。 しかし、確実な方法でもあると思います。バクテリアは確実に定着するわけですから。私も、一番最初は使用しました。(水槽セットに付いてきました。) 2つ目は、パイロットフィッシュを用いる方法です。パイロットといっても、操縦士ではありません(笑)。アンモニア分解の為のバクテリアが定着していない過酷な環境下でもたくましく生き抜くことが出来る種類の魚をいれ、バクテリアが定着するまでアンモニアを排出してもらおう、という趣旨です。 しかし、その役目ゆえに、任務後は☆になることもしばしば。パイロットフィッシュの投入には賛否両論あります。代表的なパイロットフィッシュは、ネオンテトラです。他には、アカヒレやメダカでも、その任に耐えると思います。 3つ目は、すでに稼動している水槽が有る場合の方法です。今現在、安定して稼動できている水槽に、スポンジフィルターを設置します。そのまま1週間ほど放置し、その後に取り出してプラケースの中で絞ります。とても汚い水が現れるのですが、その中には安定した水槽のバクテリアがたくさん含まれています。それをコーヒーフィルターのようなもので漉してもいいですし、そのままでもいいです、新規に立ち上げた水槽に入れてください。 すでに欲しいバクテリアだけが投入されたので、それ程時間もかからずに定着します。 いずれの方法をとっても、大体バクテリアが新しいフィルターに定着するまで1週間は見たほうがいいです。1週間はフィルターも回し、水草が有る場合は照明もつけて放置しましょう。 よく、この期間に換水することを推奨していますが、というより普通推奨されますが、私はその必要性を感じません。確かにこの期間にアンモニア濃度を計測すると、結構高いです(この時期のアンモニアは、殆どがアンモニウムイオンです)。そのまま放置すれば、確かにコケの餌食になる可能性もあります。しかし、換水してしまっては、バクテリアのエサとなるアンモニアが減ってしまいます。下手に換水すると、バクテリアよりも生命力の強いコケのほうが先に繁殖してしまい、結果的に崩壊を招くことも考えられます。 照明もつけているので、コケの発生の為の栄養は水草も消費します。ですので、基本的にコケで崩壊することは無いと思います。 ですが、いずれにしてもこの期間は何も無い水槽といえど、注意して観察してください。少しでもコケが生えてきたら、そのときは水槽の水全部を換水しても構いません(ただし、パイロットフィッシュがいる場合を除く)。この期間は結構重要で、水槽の立ち上げに失敗するとしたら、この期間です。コケで崩壊させないためにも、観察を怠らないでください。ここが第2関門ですね。 パイロットフィッシュがいる場合、水を全部換水することは危険なので、1日に1/3から1/2程度の換水をしばらく繰り替えし、コケが衰退するのを待ちましょう。 1週間です。1週間後に、水槽がコケで崩壊していなければ、基本的にはバクテリアが定着したと考えてもいいでしょう。立ち上げ成功です。 立ち上げ成功後、生き物を買って来て入れるわけですが、ここでも注意しなければいけない点が2点ほどあります。これが最後の関門です。 まず、水質をあわせてから水槽に入れなければならないということです。「水合わせ」と「温度あわせ」ですね。 温度あわせは簡単です。生き物が酸欠にならないように気をつけながら、水槽にショップで買ってきた袋のまま浮かべたり、水槽の横に置いたりして水温を同じにします。 その後の、水合わせがかなり重要です。これに失敗すると、生き物が死んでしまいます。 水合わせには、先ずショップで入れてくれる袋から、自前のプラケースに移します。そして、水槽の横へ置き、チューブを使って少しずつ水が入るように調整します(エアポンプ用のチューブとバルブを使うと楽です)。 水量は、だいたい3滴/秒くらいでいいと思いますが、状況を見ながら調整してください。このペースでも、プラケーの中で生き物が暴れているようなら、それはpHショックですので、水量を減らしてください。大丈夫なら、少し増やしてみてもいいです。 大体、ショップで入れてくれた水の量の2倍(つまり、ショップ:自分のところの水が、1:1の状態です)になれば、経験則ですが大丈夫だと思います。 ただし、2倍になった直後にリリースしないようにしてください。しばらく、30分ほどはそのままにして置いてください。しばらく置いたら、先ず1匹リリースします。このとき、pHショックのような状態になるのであれば、もう少し放置します。ただし、リリースした生体はそのままにします。戻すと返って危険です。 pHショックが起きないのであれば、次々とリリースしてください。ただし、傷つけたりしないよう、慎重にやってくださいね。 このプロセスは、今後新たに生体を水槽へ入れるときも必ず行います。 2点目は、ショップから来た水は極力自分の水槽へは入れないようにすることです。 ショップでは、病気対策のために薬品を使用していることもあり、それらを水槽へ入れてしまうと折角安定した水槽のバランスが崩れてしまう事もあるのです。また、何らかの病原菌や寄生虫を含んでいることもあり、それが水槽に入ってしまえば、生体が感染してしまいます。 ショップが悪いのではなく、ショップは毎日様々な生体を出し入れしており、また大概のショップはオーバーフロー水槽で、ある区画の水槽は全て繋がっています。ですので、どこかで問題が発生すると、全体に影響が及んでしまうのです。どこかで問題が起きていないとも言い切れないので、注意はすべきです。 以上の点が、水槽立ち上げ時の注意点ですね。 立ち上げが成功した暁には、ご自分で好きな生き物を入れていただいて、アクアリウムを楽しんでください! |