<FUJIFILM S200 EXR>




私のメインカメラである、S200です。上の写真が少々暗いのはお許しください、使ったカメラがF300だったもんで。これが限界でした(^_^;)

分類的には、富士フィルムが作った言葉である「ネオ一眼」となります。レンズ交換不可で(富士曰く、「レンズ交換不要」)、35mm版換算で広角30.5mm〜望遠436mmの14.3倍FUJINONレンズ搭載です。
レンズ特性は十分に良く、広角から望遠まで良好な画質を保っています。厳しい目で見れば若干パープルフリンジが出ており、周辺収差が見受けられますが、気になるレベルではありません。

イメージセンサーには、1/1.6型の「スーパーCCDハニカムEXR」が採用されています。有効画素数1200万画素で、原色フィルターが一般的なベイヤー配列ではなく、EXR配列が採用されています。
このCCDは、フォトダイオードの形状が普通の正方形ではなく、八角形(ハニカム)が用いられています。そのおかげで1画素あたりの面積が2倍近くになっています。また、カラーフィルター配列も、ベイヤー配列から45度傾けて配置されているので(EXR配列)、CCD1辺あたりのフォトダイオードの数が√2倍に、面積として2倍に増やすことが出来ます。つまり、同画素数のCCDと比較して、1画素あたりの受光面積を2倍に増やすことができるのです。
ですから、八角形にしたことによる面積の増加とEXR配列の効果で、ベイヤー配列CCDと比較して、実に4倍もの受光面積を持っていることになります。

細かく計算していくと、1画素あたりの受光面積はAPS-Cサイズに匹敵することがわかります(同画素数比)。たかだか1/1.6型のCCDでも、理論上は一眼レフと十分戦えるセンサーであると言えます。

また理論上だけでなく、一眼エントリー機(例えば「EOS Kiss X50」「EOS Kiss X5」)より確実に画質が良く、中級機(「EOS 60D」等)とも同等か場合によってはそれ以上の画を吐き出しています。さすがにそれ以上のクラスになってくると、フルサイズ機が多いこともあり太刀打ちできない感じですね。

あと、小さいセンサーが故に被写界深度は、APS以上のサイズのセンサーを持つ一眼と比べれば深くなっています。これをどう受け止めるかが、このカメラの評価が分かれるところではないでしょうか。




操作系は一眼レフと似ている


操作系は一眼レフのそれと似ていて、機能そのものも良く出来ています。ISO感度やホワイトバランス、露出ダイアルなど一通りのものが揃っています。レスポンスは、やはり一眼と比べれば劣るのでしょうが、今のところ不足はありません。
撮影モードも、富士自慢の「EXRオート(EXR)」を初めとして、「オートモード(AUTO)」、「シャッター速度優先モード(S)」、「絞り優先モード(A)」、「マニュアルモード(M)」、「シーンポジション(SP)」、各種ブラケティング撮影、オマケの動画撮影機能です。

ですが、最近は結構多くのカメラで搭載している「RAWボタン」はありません。RAW撮影をするようになってからは、このボタンがうらやましいです(^_^;)

ダイナミックレンジを拡張できる機能があり、他社よりも優秀です。と言うのも、他社のカメラが2連写した画像を合成してダイナミックレンジを稼いでいるのが殆どであるのに対して、富士では1回のシャッターレリーズで電子的にシャッター速度を同時に可変させ、2つの露出パターンを作り、合成しています。ですので、ダイナミックレンジの拡張を常用できる強みがあります。(最大8倍までダイナミックレンジを拡大できます。)

高ISO感度にも強く、フル画素でISO3200でも等倍まで拡大して使うようなことが無ければ十分常用範囲内です。さらに、記録画像サイズをM(600万画素)に設定することで、ハニカム画素を2つ混合させて1つの画素として読み取るので、感度が理論上2倍になり、同じ感度であればノイズが半分になります。通常画素混合すると偽色が発生してしまいますが、EXR配列であるこのCCDでは、偽色が原理的に発生しません。
ですので、高感度にとても強いカメラであると言えます。

実際、一眼レフ含めて他のカメラと高感度画像を比較すると、かなりいい線行ってると思います。


夜9時半にISO1600手持ちで撮影




EXRモードには、「高解像度優先モード(HRモード)」、「高感度低ノイズ優先モード(SNモード)」、「ダイナミックレンジ優先モード(DRモード)」と、それぞれの優先モードが設けられており、それぞれでは手動で撮影条件を調整できます。
HRモード以外では、画素数がMサイズ(600万画素)に限定されます。EXRオートでは、その条件によって自動で画素数が変動します。

また、「EXRオート」では、フィルムシミュレーションは「PROVIA」しか選べません(あとは白黒とセピア)。せめて「Velvia」だけでもいいから設定できるようにしておくと、初心者でも印象的な写真が撮影できると思うのですがね〜。
複雑なEXRオートの演算に処理能力を食われて、Velviaシミュレーションが出来なかったのでしょうか。

EXRオートは、人の目と同じメカニズムを用いたアルゴリズムで、明るいところでは解像度を高く、暗いところでは解像度を落として感度を優先するといったことを再現しています。EXRセンサーもその為に開発されたもので、「目で見たまま」に撮影できるとして売り出しています。
私も初心者の頃はEXRオートとダイナミックレンジ優先モードを多用していましたが、慣れてくるに従って「写真」としての画質に不満が出てきて結局はマニュアル撮影に落ち着いています。

撮影モードはダイアルで切り替えるようになっています。このダイアルは、触った感じではアルミ製のようですが、レンズを除きそれ以外は殆ど全てのパーツが樹脂製です。


ダイアルは2つ


ホールド感は良好で、一眼レフと変わらないと思います。ですが撮影時重量が870gと、一眼と張り合えるレベルの重さです。といっても、そのおかげで手振れが軽減されて安定した撮影が可能となっていますので重量は気にならないですね。

液晶やビューファインダー(EVF)は、必要最低限って感じです。ですが、必要最低限なのでそれ程不足は感じません。モニターで見たときとのパラドックスの感覚さえ覚えれば、撮って出しでもほぼ思い通りの露出で撮影できます。

シーンポジションには、「風景」、「夜景」、「ビーチ」など普通に他のカメラにも付いているものは一通りあります。
ですが、その中でも特徴的なのが、「ぼかしコントロール」と「連射重ね撮り」です。最近ではどちらも他社製品で搭載されていますが、この製品が販売されていたころは珍しいものでした。

で、その機能性ですが、「ぼかしコントロール」はハッキリいって要らなかったですね(^_^;)
もともとS200は結構きれいにボケてくれるので、望遠をうまく使えばこんな機能は無くてもいいと思いますがね。わざわざ新機能として搭載したからには、何か意図があったのでしょうか。


ボケの品質も悪くないでしょ?


ですが、「連射重ね撮り」は使えます!。これは、最高ISO1600で4連写して、その後に全ての画像を合成するの機能です。合成には、それぞれのドットを相加平均で値を取っていると思うのですが、詳しくはどこにも書かれていないので何とも言えません。
この機能を使うと、普通にISO1600で撮影するのと比べて遥かに低ノイズで撮影出来ます。当然動体には使用できないという制限つきではありますが、夜景などでその威力を発揮します。

最近ではマニュアル撮影しかしていないので、オート機能で使ってるのは「連射重ね撮り」くらいです。それ以外は、マニュアル撮影で画質を細かく設定して撮影したほうが綺麗に撮れます。


ISO1600手持ち撮影です。連写重ね撮り。




このカメラには、コンデジとしては珍しく、画質調整の為のオプションが設けられています。
項目は、「ホワイトバランス微調整」、「トーン(ハード、スタンダード、ソフト)」、「シャープネス(ハード、スタンダード、ソフト)」、「ノイズリダクション(ハイ、ノーマル、ロー)」が調整可能です。

トーンはスタンダードで使用していますが、私はシャープネスを「ソフト」、ノイズリダクションを「ロー」で撮影しています。もちろんRAW撮影では関係ないのですが、JPEGで撮影するときにはこの設定が一番結果が良かったです。本当は、シャープネス処理なし、ノイズリダクションOFFの設定が欲しかったのですが、まあそこまでは無理ですかね(^_^;) 設定としてあっても、画質が耐えられないかもしれませんし。

マニュアル撮影も使いやすいです。というか、ここが使いにくいとかあるんですかね(^_^;) 手動設定なのに。
デジタル露出計もあり、ダイアルを回転させてあらゆるパラメータを調整できます。SSと絞りは1/3EVステップで設定でき、絞りのも6角形なので表現の幅がとても広いです。
絞り開放値f 2.8 - f 5.6ですが、その値で望遠を併用すると、上の写真のようにとても綺麗にボケてくれます。もちろん被写界深度はセンサーサイズなりではありますが、うまくボケが決まったときはそんなこと関係ないくらいですね。

マニュアルフォーカスも付いていて、本体左にあるフォーカス切り替えダイヤルで切り替えます。フォーカスリングの反応は若干鈍く使いづらい部分もありますが、星の撮影や風景などでもフォーカスを固定するのに使っています。


この「S200 EXR」は、一眼レフと同等の機能と画質を併せ持つコンデジとしては最高クラスのカメラとして、仮に一眼レフを購入しても使い続けていくつもりの、お気に入りのカメラです。



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